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私らしく生きる。あたらしい働き方発見インタビュー ~Vol.4~人と人との“ハーモニー”が、私の幸せな人生の原点。

私らしく生きる。あたらしい働き方発見インタビュー ~Vol.4~人と人との“ハーモニー”が、私の幸せな人生の原点。

常に周りに人が集まり、新しいアイディアをどんどん形にしていく、ユニークな働き方が印象的なルミコ・ハーモニーさん。3人の子どもを育てながら、アーティスト、プロデューサー、NPO法人の副理事長など、複数の肩書きを持ち、精力的に活動を続けています。そんな魅力あふれるルミコ・ハーモニーさんに、ご自身の働き方について伺いました。

新卒の頃からのビジネスを起こすことが目標

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― ルミコさんはさまざまな肩書きをお持ちなんですね。

そうなんです。やりたいことをやっていたら、どんどん肩書きが増えてしまって(笑)。大学卒業後、最初に就職した会社は玩具メーカーでした。キャラクターや玩具は好きではなかったのですが、新規事業に携われるチャンスを求めて、その会社に入社することを決めました。

― 最初に配属された部署は、どんな部署でしたか?

新規事業室の部長が、元大手メーカーに勤務経験がある方で、その方と一緒なら何か新しいことができるのでは?と新規事業室を希望しました。同期全員がその部署を希望したほど人気部署で、その中から私を含めた3人が勝ち抜いて、配属になりました。ところが実際に働いてみたら会社の墓場みたいで(笑)。会社のコアコンピタンス(自社の核となる強み)が使えると事業が起こしやすいですが、配属された部署では会社のコアのキャラクターを使わない事業創造が前提だったので、それが困難でしたね。

― 新規事業室ではどんな仕事をしていましたか?

新規事業室では、「キャラクターを使わないビジネスを生む」ことがミッションでした。会社やキャラクターのバリューを使えないので、みんな苦労していましたが、私は自分でオリジナルのキャラクターを提案し続けました。当初はテレビのキャラクターグッズを作っていたのですが、絵本のキャラクターを育てることになり、絵本シリーズのマーチャンダイジングのプロデューサーを務めることになりました。商品化のプランニングや、絵本原画展などのイベントファストフード店のグッズキャンペーンなど、ディレクションから監修、海外展開の交渉まで一連のことをやって、まるで小さな会社の社長みたいと思っていました。

― 転機はいつでしたか?

フィンランド人の夫と出会って、子どもが生まれ、産休・育休で、一度仕事から離れることになった時と、2人目を産み小さな子ども2人を連れて、夫の転勤で11カ月間ブラジルについて行った時が、大きな転機ですね。

人と人とのつながりが新しいステージへのカギ

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― 小さな子どもを2人連れてブラジルというのはすごいですね。

周りからはすごく反対をされましたが、実際に行ってみたらとっても良かったんです。子どもと一緒だとみんなが優しくしてくれて、本当に子育てしやすい国だと思いました。日本にいると周りの目が気になって、「こうあるべき」とがんじがらめになるのですが、ブラジルでは、子どもを背負いながら自由に絵を描いて過ごすことができました。

― そんな時に再び妊娠。働き方に変化はありましたか?

私は姉妹2人で育ったので、3人目は未知の世界。でも常にチャレンジすることが私の信条。3人目の出産という未知の世界に足を踏み入れてみたら、新たな道が開けた感覚になりました。その後すぐに友達に誘われて、国際交流を支援するNPOを立ち上げようということになり、新しい道に進みはじめました。初受注が大企業のファミリーイベントのメインビジュアルで、これがアーティストを名乗るきっかけとなりました。

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― その後、アーティストとしてはどのように活動しているのですか?

アメリカ人の夫がいるアーティストの友達と、英語でアートを学ぶLITTLE ARTISTS LEAGUEを立ち上げました。マンスリーでアートワークを開いて、お互いにアーティストとして活動するチャンスをつかんでいこう、という感じで始めました。最近では有名ブランドから、アートワークショップの依頼がくるようになったんですよ。

― ルミコさんの周りを動かすパワーはすごいですね。

いまでこそ周りを動かすパワーがあるといわれますが、私自身はもともとパワーを持っている人間ではありませんでした。周りの人からパワーをもらい、自分の力に変えることを意識し続けたから今があります。
「ハーモニー」というのは、私のアーティストネームなのですが、振り返るとハーモニーできる素晴らしいパートナーに常に出会えています。例えば夫からはグローバルという要素をもらって、いろいろなことに気づかせてもらいました。さらに家族や、NPO法人やプロジェクトを一緒に立ち上げる友達からは自分が知らない価値観や、考え方、情熱を日々学んでいます。

昔は「私が!私が!」という感じで、何でも1人でやりたいというタイプ。しかし、人と出会い、その人と“ハーモニー”すると仕事の幅が大きく広がるということに気づきました。人と調和する=ハーモニーすることが今の自分のパワーにつながっていると思います。

視野をもっと広げてみると、ラクになることも

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― グローバルな視点から、日本をどう思いますか?

ブラジルで生活して思ったのは、ブラジルではみんなが幸せそうに笑顔で生きていて、家族の絆をすごく大切にしてること。日本人は「べき論」が多く、大学に行くべき、結婚するべき、会社に行くべき、子どもは1人くらい産むべきと、自分をがんじがらめにして苦しんでいる人が多いと感じます。それは、自分の幸せを考えるということに、幼少期からフタをされてしまっているから。家族との時間や自分のやりたいことなど、大切なことをおざなりにしているように感じます。仕事がつらくなったら、もっと大きな尺度で周りを見てみることをおすすめします。海外のやり方など、視点を変えることで、自分にとって幸せな働き方に気づくかもしれません。

― 幸せな働き方とは何かというのは難しいですよね。

私にとっての幸せな働き方は、組織にしばられず、家族との時間を大切にすること。そのためには、会社を辞めなくてはならなかったのですが、私も会社を辞める時はものすごく勇気がいりました。決まったレールから外れることが怖かったんです。でも、子どもとの時間が少なくなるのはイヤだったので、思い切って辞めてみたら、手に入るものも多いことがわかりました。今はフリーランスのような形で自由に働いていて、本当に幸せです。もちろん、めちゃくちゃ高い健康保険や税金の請求が来て、びっくりすることもありますが、今まで気づかなかった新たな発見ができています。

― 組織で働く時、どのようなことに気をつけたら良いでしょうか。

気をつけなければならないのは、会社員じゃなきゃというしがみつきが出ることです。イヤな仕事を無理にするとか、いじめや人間関係がうまくいかなくてつらいな、と思いながら寝るのは幸せとは思えません。組織で働きながらも、自分自身の幸せを考える時間を持つことや、立ち止まって自分の働き方について考えることも必要です。

― 今後はどのように活動していきたいですか?

家族一緒にどこか好きな国に暮らして、絵本作家として1年に1回くらい日本に呼ばれるようになりたいですね。好きな国を旅しながら、それをネタにして絵本を描いて……そのぐらい自由でありたい。働くことを通して、自由と発見する力、発信する力をつけていきたいと思っています。