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よく聞くけど意外と知らない?「フレックス制度」ってどんな制度?

よく聞くけど意外と知らない?「フレックス制度」ってどんな制度?

近年、ITの進化とともに仕事にも多様性が生まれてきました。政府も成長戦略の一つに働き方改革という言葉を用いて今までの雇用の形からの変化を推進しています。その働き方改革の柱の一つでもあるフレックス制度。よく聞くけど、詳しい内容はわからない……。今年2月にはソフトバンクも完全に移行するなど、再び世間の注目を集めつつあるフレックス制度について紹介していきます。

1.フレックスタイム制度はこんな制度

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フレックス制度というと、カタカナで何か難しそうで、またカッコいいような印象を受けますよね。簡単に説明すると、仕事の出勤時間、そして退勤時間を自分で決定できるというシステムです。正式には「フレックスタイム制度」といいます。

フレックス制度には「コアタイム」と「フレキシブルタイム」の2種類がある

フレックス制度では雇用側が決める出勤していなければならない時間である「コアタイム」と、労働者側が自由に時間を決めてよい「フレキシブルタイム」の2つに分けられています。会社によってはすべての勤務時間を労働者が決められるフレキシブルタイムのみで設定されている場合もあるそうですが、一般的にはコアタイムの前後にフレキシブルタイムが設定されています。つまり、出退勤の時間は労働者自身で調整出来るということが現在のフレックス制度で中心になっているものです。

以前の雇用形態と比べて仕事をする時間が短くなるわけではない

決められた労働時間である清算期間を働くのであれば、自由に出退勤してもよいというシステムなので、以前の勤務形態と比べて仕事をする時間が短くなる…ということではありません。しかし、自分のライフスタイルに合わせて時間を決定できるので、子育てなどの家庭環境を踏まえて仕事ができるのは大きなメリットになるはずです。仕事の効率化や生産性の向上のために、柔軟な働き方を推進する制度の一つと言えるでしょう。

2.知っておきたい特徴

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フレックス制度は日本国内での導入はあまり進んでいませんが、海外での導入率は年々増加傾向にあります。国内でもグローバル化やITの発展により、企業側と労働者側の両方で多様化するニーズに合わせることのできる働き方として、注目されています。

フレックス制度を採用する職種

デザインや多様なモノづくりに携わる個人裁量が多い仕事は、労働時間を定めないほうが生産性向上の可能性があるので、フレックス制度が向いている職種と言えるかもしれません。採用している企業も情報通信業や専門業などが圧倒的に適用率も高いです。(厚生労働省のデータ参照)近年では公務員でもフレックス制度を本格的に導入している自治体もあります。2016年度では国家公務員にもこのフレックス制度が勧告されるなど、普及に向けて政府の後押しも進んでいます。今後IT化が進行し、働き方も大きく変化していく中で、このフレックス制度は仕事の生産性を上げるために大きな役割を担いそうです。

逆に、多くの人が一斉に手を動かさなければならない建設業などでは適用率が低い傾向があります。また、時間を問わずオールタイムで勤務が必要なサービス業なども適用率が低く、そのような企業はフレックス制度を採用する分野としてはあまり向いていない分野と言えるかもしれません。導入されるべき分野、仕事内容がやや偏りがちになってしまう部分は否めないでしょう。

フレックス制度とライフスタイル

フレックス制度でも、清算期間を超過した場合はもちろん残業代が出ますし、深夜手当なども支給されます。しかし、逆に労働時間の不足があった場合には企業側が給与のカットや翌月へ時間を繰り越されることもあるので、フレキシブルタイムは自分でしっかりと管理しなければなりません。労働時間の管理というと当然のことでしょうが、裁量権を持つとルーズになりがちです。

フレックス制度は女性の味方であるとも言われており、転職を考えた際にライフスタイルに合わせて労働時間を決められるフレックス制度は大きなメリットでしょう。通勤ラッシュを避けられること1つとってもストレス軽減につながります。

3.注意点

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仕事をするうえでケアしておきたいこと

勤務時間を各労働者に任せるフレキシブルタイムが長くなるにつれて他社とのアポイントが取りにくくなるというデメリットが存在します。そのために、営業職が多い企業ではどうしてもコアタイムは長くなってしまう傾向があります。フレックス制度とはいってもあまり自由に時間を決められない……なんてことも起こりうるのでご注意を。

時間の管理は要注意!?

また、生産性や効率性を上げるために労働時間を自分で決めるのがフレックス制度ですが、自分自身への甘えから仕事に対してルーズになりがちというのも注意しなければならない点です。残業時間を減らすこともできるフレックス制度ですが、時間の管理がうまくないと、普通の雇用形態より厳しい生活になりかねません。しっかりと自分で判断して働かなければ、自分自身の首を絞めることになりかねないのもフレックス制度の注意点です。
また、出退勤の時間がばらばらになるため、社員同士の関わり合いが少なくなるというのも自由さゆえの弊害。今までの勤務体系のように決まった時間の朝礼や同じ時間で退勤するということも少なくはなるため、職場のコミュニケーションの面ではマイナスに傾きかねません。

元はアメリカで考案された勤務形態であるフレックス制度。個を大切にする考え方ですが、日本では調和をよしとする考え方が定着しており、組織や風土に合わないということも少なくはないようです。古くから終身雇用が根付いている中での働き方改革はやはりスムーズには進まず、フレックス制度も浸透していかないのが現状です。

まとめ

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フレックス制度は良くも悪くも労働者自身に裁量権を与えるもの。フレックス制度があるからといって仕事内容が減るわけでもなければ、楽になるということもないのです。労働者自身が勤務時間の裁量権を持つということは生産性や効率を上げることもできますが、マイナスの影響を与える可能性も十分にあります。フレックス制度の導入率が5%と日本では浸透せず、休止している企業が数多くあるのが現状です。与えられた裁量権をどう生かしていくか。フレックス制度では自由な中でも自分で責任感を持って仕事に臨むことが求められるでしょう。意識を持って仕事に臨めるのであれば、フレックス制度は効率良く仕事できる柔軟な働き方となり、労働者にとっても味方になる制度と言えるでしょう。