派遣社員も健康保険に加入できる?加入方法は?

派遣社員も健康保険に加入できる?加入方法は?

派遣社員という働き方を選ぶにあたり、健康保険に加入できるのか気になる人もいらっしゃるでしょう。一般的な会社員の加入する健康保険は、会社と保険料を折半することで個人の負担が軽減し、出産に関する保障も手厚いため、人生プランを考えるうえでメリットも大きいと言えます。
実は、派遣社員であっても、労働時間などの条件を満たすことで健康保険に加入することが可能です。
本記事では、健康保険の概要や派遣社員が健康保険に加入するための条件等について解説します。

健康保険とは?

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健康保険とは、加入者(被保険者や被扶養者)が病気やケガなどをした際に、保険給付をおこない費用を補填する公的な医療制度を指します。本章では、制度の概略や加入資格などについて解説していきます。

健康保険の制度の概要

健康保険は、加入者が病気やケガ・出産・死亡などによる、収入の減少や突発的な出費といった経済的な負担を軽減するための制度です。
会社員が加入する健康保険の場合は、全国健康保険協会や健康保険組合が運営し、事業主と従業員が健康保険料を折半して支払う仕組みとなっています。当該従業員に収入などの条件を満たす扶養家族がいる場合は、被扶養者として保険料を負担することなく同じ健康保険への加入が可能です。 

健康保険の加入資格

一般的に、健康保険へ加入できるかは、労働時間など一定の条件を満たしているかによって判断されます。
健康保険への原則的な加入資格は、以下の通りです。

1. 常時雇用されている者(一般的な正社員や役員など)
2. 週の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上である者

また、例えば1ヶ月の労働日数が15日未満などと少なく、上記の条件に当てはまらない人でも加入資格を満たす場合があります。詳しくは後述の「派遣社員の健康保険の加入条件とは」の章で解説します。

国民健康保険との違い

国民健康保険と健康保険の主な違いは、加入対象者と被扶養者の有無、保険料の負担です。

健康保険への加入対象者はその会社に勤務する従業員等被雇用者と、一定の条件に該当する被扶養者(配偶者等)です。
一方、国民健康保険は、会社に所属していない自営業者やフリーランス、年金生活者等が加入する医療保険制度です。被扶養者という考え方がないため、配偶者や子どもでも世帯の一人ひとりを被保険者とみなします。そのため、世帯全体で負担する保険料が高くなる可能性があります。

健康保険の保険料は前述の通り会社と従業員の折半で負担しますが、国民健康保険は全額自己負担となります。
このほかに、国民健康保険には、傷病手当金や出産手当金の支給がないといった保障内容の違いも挙げられます。

派遣社員の健康保険について

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派遣社員であっても、雇用条件によって派遣元会社の健康保険の加入対象となります。気になる人は、ご自身が当てはまるか確認してみてください。

派遣社員の健康保険の加入条件とは

基本的な加入条件は前の章で触れましたので、ここではそれらの条件に該当しないケースを解説します。フルタイム勤務ではない派遣社員の人も、以下の5つの条件をすべて満たすことで、健康保険の加入対象となります。

➀ 週の所定労働時間が20時間以上であること
② 雇用契約が2ヶ月を超える見込みがあること
③ 月額賃金が8万8,000円以上であること
④ 学生でないこと(定時制や夜間等を除く)
⑤ 従業員数が101名以上の事業所に勤務していること、または100人以下で健康保険の加入について、労使合意した派遣会社に勤務していること

このうち⑤の従業員数については、2024年10月から51名以上に改正予定です。

派遣社員の健康保険加入のタイミング

派遣社員の健康保険は、条件を満たすことが見込まれた時点で加入可能です。
例えば、派遣社員として入社した際に、2ヶ月以上の雇用契約期間が見込まれ、週に30時間以上働くことなどが確定している場合には、入社初日から健康保険に加入することになります。
また、入社時には週20時間未満で働いていたとしても、勤務条件の変更などにより、週の労働時間が20時間を超え、雇用契約見込み期間が2ヶ月以上となり、月額賃金やその他の条件を満たすことが見込まれた場合にも、見込みが立った段階で加入することになります。

派遣社員の健康保険の加入方法

派遣社員の健康保険の加入手続きは、派遣元の会社が行います。派遣社員側が手続きをする必要はありません。

加入手続きの際には、年金手帳など基礎年金番号が分かるものの提示を求められるケースもあります。詳しく知りたい場合は派遣元の会社に問い合わせてみましょう。
ただし、現在加入している健康保険が国民健康保険である場合、脱退手続きは派遣社員側で行う必要があります。また、配偶者や親族の扶養に入っている場合も、配偶者等の勤務先へ連絡するとともにこれまで使用していた保険証の返却が必要です。

特に、国民健康保険の脱退手続きをせずにいると、保険料を二重払いすることになりますので、お住まいの市区町村で忘れずに手続きを行いましょう。

健康保険に加入しないことはできる?

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勤務する会社が適用事業所(社会保険に加入している事業所)であり、ご自身が加入条件を満たす場合は、健康保険に加入しなければなりません。

「夫の扶養から外れたくない」や「手取りの給料を減らしたくない」といった理由で、加入条件に該当しながらも健康保険に加入しないということはできません。

また、日本では「国民皆保険」といってすべての国民が公的医療保険に加入することになっています。
どうしても手取りの給料から保険料を引かれたくないという人は、扶養の範囲内で働くという選択肢も視野にいれましょう。

詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
【関連記事】扶養内で勤務とは?メリット・デメリットや年収の壁の注意点を解説

まとめ

今回は、派遣社員の健康保険への加入について詳しく解説しました。健康保険は、万が一の病気やケガのときに生活を保障する重要な制度です。ご自身が健康保険の加入条件に該当するかや勤務条件について把握し、希望の働き方と合っているのか確認してみましょう。

参考URL
厚生労働省 社会保険適用拡大サイト
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/jigyonushi/

協会けんぽ 被扶養者として協会けんぽ加入中のご家族が就職された場合【※ 保険証の資格は自動的に切替にはなりません!】
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/file/~mediaFilesyamanashikouhou2021081101.pdf

厚生労働省 従業員数100名以下の事業主のみなさま
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/jigyonushi/

厚生労働省 地方厚生局 社会保険(厚生年金保険・健康保険)への加入手続はお済みですか?
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/shinsei/shido_kansa/hoken_shitei/documents/hoken-miteki.pdf

厚生労働省 国民皆保険制度の説明
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000377686.pdf

 

ライター:監修兼ライター 西本 結喜
一般企業の人事職7年目。金融業界や製造業界を経験し、業界ごとの慣習や社風の違いを体当たりで吸収してきた。現場で得た知識を深めたいと社会保険労務士試験に挑戦し、令和元年度合格。現在は小売業の人事職に従事しながら、独立開業に向けた準備を進めている。

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