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私らしく生きる。あたらしい働き方発見インタビュー ~Vol.1~3人の子どもを育てながら働くのは、大変だけど楽しい!

私らしく生きる。あたらしい働き方発見インタビュー ~Vol.1~3人の子どもを育てながら働くのは、大変だけど楽しい!

新連載「私らしく生きる。あたらしい働き方発見インタビュー」の第一回目にお話を伺ったのは、フェアトレード(途上国に対して公正な貿易を行うこと)を通じて途上国の生産者を支援する専門ブランド「ピープルツリー」で働く竹松文子さん。竹松さんは、フルタイムで仕事を続ける3人(4歳、2歳、1歳)の子どものお母さんでもあります。子育てと両立しながら働き続けるヒントを伺いました。

両立させるために「家、保育園、職場」の距離を短縮

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― 普段はどのような仕事をされているのか教えてください。

ピープルツリーのウェブサイトにかかわる販売促進を担当しています。具体的には、サイト上に掲載するコンテンツ制作や、毎週配信しているメルマガ作成、ECサイト上のページを作っています。

― 販売促進はどういう施策が多いですか?

スタッフが商品を着てコーディネートを考えたり、試着無料などのキャンペーンやセールを企画したりしています。あとはフェアトレード専門ブランドなので商品の生産背景も紹介しています。ピープルツリーのフェアトレードは、インドやバングラデシュ、ネパールなどの経済途上国の人々にアイテムを作ってもらい、公正な価格を支払うことで、持続可能な生産を支えています。
 

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― 洋服ができる背景をウェブ上で説明するのは難しそうですね。

そうですね。フェアトレードには5年かかわっていますが、その魅力を伝えるのは、いまだに難しいと感じます。最近は、ほかのブランドと同じように、品質や着心地、デザイン性を全面に出して、お客様に「かわいい」、「着てみたい」と思ってもらえることを大切にしています。その先に、フェアトレードといった要素や作り手のストーリーなど、ピープルツリーの付加価値をお話しした方が伝わりやすいだろうなと感じています。

― 前職でもウェブ関係の仕事をしていたのですか?

はい。ウェブ専門の広告代理店で働いていました。そこでは、ウェブの広告や販促を担当していて、いかにクライアントのサービスを広めるかを考えていました。

― ピープルツリーに転職した理由を教えてください。

学生時代からフィールドワークを大切にしている先生のもとで学んでいて、フェアトレードには関心がありました。ピープルツリーは、企業として利益を出した上で、途上国の生産者も支援するという「win-win」の事業をしていて、すごいなと思っていたんです。ある時、たまたま私ができそうな職種が募集されていたので、挑戦してみました。

― 転職して働き方は変わりましたか?

働く時間はすごく変わりましたね。ピープルツリーは勤怠を自分でしっかり管理する会社です。残業が全くできないので、退社時間ぴったりに帰っています。

― 働く女性たちの間では、3人目が産まれるとフルタイムで働き続けるのが難しいとも言われます。実際はいかがですか?

確かに私もよく聞かれます。でも、3人目が1歳になったばかりなので、私の中では3人目の育児はまだ始まっていないと思っていて。あまり泣かないし、ベビーカーにおとなしく座っていてくれるので、そこまで大変ではありません。ベビーカーを押しながら、ちょこまか動く2人の子どもを見ている場合がほとんどです。3人目が歩き出した時に、本当の「3人育児」が始まるんだろうなと思っています。

― 現在は3人とも同じ保育園に通っているのですか?

はい、そうです。以前ネットで、3人の子どもを育てるキャリアウーマンの記事を読んだことがあるのですが、その方が「保育園と職場と家の3点を近くすることが、すべてを両立させるポイント」と言っていたんです。そこで、3人目が産まれた時に保育園まで歩いて5分のところに引っ越しました。保育園、職場、家の3点を近くしてだいぶ楽になりましたね。これは、本当におすすめです。

― 子どもが1人から2人、3人になって、働き方に変化はありましたか?

それが全くないんです。働く時間も変わっていないです。1人から2人目の変化より、2人から3人目の変化の方が少ないぐらいで、特に大変さは感じていません。

家事の負担は、家電フル活用で解決!

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― 出社時間、退社時間は決まっていますか?

フレックスタイム制なので、出退勤の時間が決まっているわけではありませんが、子育ての時間に追われているので、調整する幅はありません。朝の8 時45分に出社して、保育園のお迎え時間に合わせ、夕方5時30分ぴったりに退社しています。

― 朝は何時に起きて、何をしてから出社することが多いですか?

私はもともと朝型人間なので、夜より朝の方が強いんです。朝5時に起きて、家事をこなします。家事に関しては、手間をお金で解決しようと思い、洗濯乾燥機を買いました。

1人目の時は洗濯物を干していたのですが、2人目から洗濯物の量が多くなり、時短のために乾燥機が必要になりました。今は、夜寝る前に洗濯物を洗濯乾燥機にセットして、朝起きたら乾燥が終わっている状態にしています。衣類をたたんでから朝ごはんを作り、自分の身支度を終わらせてから、朝の6時半頃にみんなを起こします。家族全員で朝ごはんを食べ、私は7時半に一番下の子だけ連れて保育園に行きます。上2人の送迎は夫が担当してくれています。

― 仕事が終わったら夕方6時に保育園に迎えに行って、その後は……?

家に着くのが6時半なので、夜ごはんは7時頃から食べ始めますね。

― 30分で夜ごはんの支度をしているのですか!?

これはあまり言いたくないのですが、朝ごはんを大量に作り、夜も同じメニューを食べています。私たち家族には、それがいつもの生活リズム。でも、他の家庭では朝と夜は違うメニューを食べていることが多いですよね。我が家の子どもたちがいずれそのことに気付くのだろうと考えると、ドキドキします(笑)。

― 夜ごはんの後の時間は何をしていますか?

夜9時頃には家族が寝るので、それ以降は自分の時間です。特に、週末は早起きする必要がないので深夜12時ぐらいまで夜更かしをして、映画を観たり本を読んだりして過ごしています。

午前中は集中タイム。
社内のママ友が心強い味方に

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― 仕事を早く終わらせるために工夫していることはありますか?

朝早く出社すると会社の電話も鳴らないし、オフィスにいる人も少ないので集中して仕事ができます。出社する人が多い朝10時頃までに、仕事を進めるよう心がけています。

― 午後は打ち合わせが多かったりして、集中できる時間が短いですよね。

私の場合はランチを食べてから3、4時間ぐらいしか時間が残っていないので、集中したい仕事は午前中に、午後は上司や他部署のスタッフに業務の確認をしたり承認を取ったり、相談事や打ち合わせをすることが多いですね。

― 会社や上司は今の働き方に、理解がありますか?

はい。午後5時半には絶対に退社しなければいけないことを理解してくれているのは、とてもありがたいです。急な仕事が入っても、5時半になったら「明日でいいよ」と言ってくれます。

― ママでも働きやすい環境ですね。

社員みんなが、そろそろ5時半だよと気にかけてくれるのはすごいことですよね。だから退社する時に、お先にすみませんという感じは全くありません。

― その雰囲気はすごく大事ですね。毎回、申し訳ないと思っていたら、ストレスも溜まってしまいますから。

そうですね。私は当たり前のように5時半に帰っています(笑)。社内にも働くママが多くて、それも心強いです。ママネットワークもどんどん広がって、会社のキッチンで、「今インフルエンザが流行っているから頑張ろう」と励まし合ったり。たまに洋服のお古をいただいて助かっています。

産休前も「早く戻ってきてね」と言ってくれたことで、戻ってくる席があることがわかり、すごくうれしかったです。

1日で一番楽しいのは「子どもを迎えに行く時間」

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― 子どもが産まれて大きく変わったところと、それほど変わってないところはどこですか?

大きく変わったのは、仕事の後の時間ですね。子どもが産まれる前は、ちょっと遅くまで働いて、帰りがいっしょになったスタッフと夜ごはんを食べに行ったり、友達と映画を観たりしていましたが、今は何があっても午後5時半には会社を出るので、そこは変わりました。全く変わってないのは、仕事内容と働き方ですね。

― そこを変えずに働けるのはすごいことですね。

みんな今まで通り、どんどん仕事を振ってくるので(笑)。私はありがたいなと思っています。働く時間帯が早くなっただけで、仕事量はもちろん、会社にいる時間の過ごし方やスタッフとの接し方も全く変わりません。

― 仕事と育児を両立させるコツはどこにありますか?

時間を少しでも短縮できるところは、乾燥機や食洗機を買ったりして、お金で解決することです。家事のイライラを溜めて、夫と言い合いをすることもなくなって、時間に余裕もうまれ、いいことしかありません。次はロボット掃除機が欲しいかな。

― 夫婦間で家事分担を決めていますか?

事前に決めておくわけではなく、暗黙の了解で「これは夫」、「これは私」みたいな分担はあります。ルールを決めたわけではないので、拘束力はありませんが、お互い何も言わずに淡々と自分の担当だと思う家事をやっています。

― 今、仕事をしながら3人を育てて、一番大変なことは何ですか?

雨の日の送迎ですね。雨の日は、一番下の子を抱っこして、真ん中の子をベビーカーに乗せて、一番上は傘とレインコートを着せて一人で歩かせています。3人になって荷物も増えて、ベビーカーには大量の荷物がぶら下がっています。特に金曜日は、3人分の布団や外履きなど、家に持って帰るものが多いんです。

― 逆に、一番楽しいことは何ですか?

毎日、子どもをお迎えに行く時は、どんな時でも楽しみです。離れている時間も長いので、子育ての大変さが1回リセットされて、帰り道の電車の中では元気かなと思いながらお迎えに行きます。

それでも、迎えに行って10分も経てば、また忙しい時間が始まるのか、、、という気持ちにもなるんですけどね(笑)。「今日は何して遊んだの?」って聞いても、「内緒」とか「誰とも遊んでない」とか言って教えてくれないですし(笑)。でもお迎えに行くまでの時間は、とても幸せだなと毎日感じています。

― 竹松さんの働き方は余裕すら感じますね。

全然、余裕はないですよ。多分、完璧主義じゃないからかもしれないです。元気なら大丈夫という感じ。夫も神経質ではないので。

― 3人子どもが産まれても、女性として気をつけていることはありますか?

ママになっても、おしゃれをしてちゃんとヒールを履くようにしています。3人子どもを連れて歩いていたら、それだけで疲れている感が出てしまうんです。さらに服装も髪型もボサボサだったら、本当に悲しくなってしまうので、身なりは整えて、余裕ぶろうとしています(笑)。

3人のお子さんを育てながら、フルタイムで働き、おしゃれも忘れない竹松さん。普段のおしゃれにも、フェアトレードアイテムを取り入れているのだとか。ついつい心に余裕がなくなりがちな日常も、時間を上手に使うことで、軽やかに乗り越えているように感じました。竹松さんのように、育児の大変さを共感し合える社内ママ友を作ってみるのも、いいかもしれません。